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崔 泰成さん、太田八重子さん夫妻


 

  
 島ノ川地区に住む崔泰成さん、太田八重子さん夫妻は、96年に神戸から大野見村の住人になった「都会の人々」です。私の住む吉野よりも標高が高い所にあるので、本当に山の一軒家という感じで、寒いときには一段と冷え込みます。
 知らずに車を走らせている人は、こんなところに家があるとびっくりするようです。
 崔さんは画家で、個展も随時開いています。モダンな作風ですが、大野見村にきてから自然をモチーフにした作品も描くようになったそうです。とはいえ、すごく抽象的な絵です。

結構山の中腹なんですよ

 家族の風景、ご夫妻とモモちゃん

 98年には敷地内にあった建物を利用して島ノ川窯を開きました。この建物はかつてはタバコを乾燥させるのに使われていたそうです。釉薬も自分たちでワラを焼いて灰にしたものを漉して使っています。作品は森林組合の販売施設などに置いてもらっています。
 
 ここでは犬のモモちゃんが出迎えてくれました。雑種ですが、どうもハスキーがかかっているのではないかということです。犬で5歳といえば25歳くらい。とても器量よしの女の子です。

 たまに人がくるとうれしくて尻尾をちぎれんばかりに振ってワンワン吠えます。こんな山の中なのだから、放し飼いにして自由に遊ばせればと思うでしょう?でも、車が通りかかるとうれしくなって飛び出し、車をストップさせてしまうので、仕方なくヒモでつないでいるそうです。このため、散歩にも規則正しく出かけなければなりません。

 雷をこわがったときに、室内に入れてあげたところ、以後、部屋に入りたいときには催促するようになりました。家の中では勝手気ままに歩き回っています。
 

 
 ●崔さんの話

 神戸に住んでいるとき、西日本を回って商売をしている友人がいたので、「どこか田舎へ引っ越したいけど、どこがいい?」ときくと、四万十川流域は人情があっていいと思うとすすめてくれたんです。それならば水のきれいなところがいいかなぁと源流近くを候補にしました。

 最初にここへ来たときは、飛行機で高知空港に行き、それから電車に乗ってきたら、その日は大野見へ行くバスがないというので窪川のユースホステルに1泊しました。翌日、バスで大野見にきて役場を訪ね、相談すると「心がけておきましょう」と言ってくださったので心強かったです。

 その後、「四万十源流の家」 まで歩いたときに、沈下橋の近くの荒瀬地区に誰もいない家があったんです。「こんな家に住めればいいね」といって2日目は源流の家で泊り、そこから中村のほうへ回って、中村市役場にも頼みました。
 1回目に行ったときには、交通機関を利用していったので、とても苦労しました。都会の感覚だと、交通がないといってもこれほど不便だとは思わなかったんです。それで、2回目に行くまでに車を購入しました。次は中村中心に探しに行ったのですが、途中で神戸に電話を入れたところ、大野見の村長さんから電話があったよ、と言われて急遽大野見へ回りました。

 そうしたら、空いている家があるから、そこへ行ってみませんかと言われました。なんと、その家が源流の家に行く途中で見た家だったんです。売ることはできないけれど、賃貸ならばいいよと言われて、2年半ほど住み、その後、ここへ引っ越しました。

離れの2階がアトリエです

いろいろな絵が掛かっています

崔さんお気に入りの作品


 ここも母屋、アトリエにしている建物などがあって2人では広すぎるぐらいですが、ほぼ敷地だけの値段で譲ってもらいました。都会の人がきいたらびっくりするぐらいの値段ですよね。でも、出ていくときには資産価値はないよと言われています。
 
 山の中の一軒家であることは覚悟していましたが、夜になって電気を消すと四万十川は真っ暗になってしまうんです。夜中に車が通ると気色悪い(笑)。自然の中にポツンと一軒あるオモシロサと、物騒というか不気味というか恐さが抱き合わせになっている。だから、戸締まりなどには用心するようになりましたね。

 不便なこと、大変なことは、いろいろありますよ。病気になったらどうしよう、足腰が立たなくなったらどうしようとかね。でも、考えていたってしかたがない。
 絵は毎日描いていますが、環境が違うとやらなければいけないことも多いんです。薪割りとか、いろいろね。

 ●太田八重子さんの話−太田さんは看護婦をするかたわら絵や陶芸を続けています。
 
 
 焼きものは本を見て2人で独学しました。試行錯誤しながらいろいろ取り組んでいますが、奥が深いですね。私は、気の向くまま、あるがままに描いています。
 高知へ行こうと言い出したのは主人ですが、2人は考え方が一緒だから反対はしませんでした。でも、周囲にはずいぶん反対されましたよ。

* * *

 絵を描いたり、焼きものをしたり、同じ楽しさを共有している崔さん、太田さんご夫妻のことを、私は心の中で「素敵なご夫婦」という冠を付けています。(2002.3.12)

モモちゃん、太田さん、私(西村)です

太田さんの作品です


崔さんの略歴

1951年   神戸に生まれる
1969年   市民美術教室へ通う、奥村隼人氏に師事
1971年   鄭相和氏に師事
1976年   ギャラリーメトロ(神戸)にて個展
1979年   ギャラリールナにて個展(神戸)
ローズガーデン美術公募展入賞
1980年   ギャラリーとうべいにて個展(京都)
1981年   隆画廊にて個展(大阪)
ギャラリーバルバローレにて個展(神戸)
1983年   隆画廊にて個展(大阪)
1984年   元町画廊にて個展(神戸)
紀伊国屋画廊にて個展(東京
1989年   隆画廊にて個展(大阪)
以後、わからないので省略
1999年   隆画廊にて個展(大阪)
南京町ギャラリーにて絵と焼き物の2人展(神戸)


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